"原酒 島美人"
今回は兵庫県西宮市にある北山酒造株式会社さんの日本酒ブランド"島美人"の生酒原酒本醸造酒、その名も"原酒"です。
日本酒で、名前に美人と付く銘柄を挙げてと云っても殆ど出てこないであろう"島美人"。
因みにこのラベルは「美人蔵部(びじんくらぶ)」バージョンらしいです。

これは先日の西宮郷散策でお邪魔した酒蔵さんの一つであります。
とは云え、実は私も直前迄知らなかった酒蔵さんです。
西宮郷にも勿論色々な酒蔵さんがある事は承知しており、今回の一番の目的は同行したaiちゃんが欲しがっていた辰馬本家酒造株式会社さんのピンクの鹿のイラストが描かれたお猪口を手に入れる為、そして与えられた時間が短い為限られた時間内で周れるルートを考えた結果こちらの酒蔵さんが浮上したのでありました。
残念ながら鹿さんお猪口は売り切れでしたが、今回の酒蔵訪問ではそれ以上の貴重な体験をさせて頂きましたよ。

こちらの酒蔵さんは・・・、小さいです(汗)・・・。
大手の酒蔵さんと比べる迄もなく小規模の酒蔵さんで、店構えはどう見ても一戸建ての住宅であり、玄関脇に酒樽が置いていなければ普通の住宅と間違えて素通りしてしまう様な控え目な酒蔵さんでありす。
入るのにも少し勇気が要ります。扉を開けると・・・、普通の家の玄関の下駄箱の上に、商品である酒瓶のサンプルが並んでおり、辛うじてこちらが酒蔵さんである事が解ります。
暫くしてやっと女将さん(らしき方)が来られ「何でうちみたいな酒蔵に来てくれたの?」と笑いながら問いかけて頂きましたが、大手さんよりも小さな酒蔵さんの方が美味しいお酒がありそうでと云い掛けましたが、あまりにも小さい酒蔵さんだったので更に小さい事を強調するのも申し訳ない様な気がして"飲兵衛としては酒があればどこへでも"とお茶を濁すのが精一杯でした。(小さいを連呼してしまって済みません・・・)
でもそのお陰で本当に良いお酒に出会う事が出来ました。

それでは頂きます生酒原酒の"島美人"、グラスに入ったそれはクリアー本醸造酒なのに何と吟醸香が!
一口呑んでみると、濃厚だがフレッシュでフルーティーな「五百万石」系の甘味と"プチプチ、ピリッ"感が口の中で弾けます。
先ず「五百万石」系の甘味、この"島美人"の甘味は実にバランスが取れています。もっと云えばこの甘味には隙がなくそれが高い次元でまとめられています。
そして"プチプチ"感は活きている生酒の証拠、舌先を僅かに刺激する"ピリッと"感は辛口のそれ、と云うか添加アルコールの刺激か、はたまたアルコール度数20%の刺激か。
最もその20%のお陰で直ぐに酔いが来ますが、久し振りに原酒らしい原酒に出会いました。
それに「五百万石」なのでキレもあるもんだから進む進む。
と云う事でこの生酒原酒の"島美人"の味を敢えて言葉にすると"プチプチ"感と"ピリッと"感の中で高い次元にまとめられた濃厚且つフレッシュ、フルーティーで隙のない甘味"となりますか。
他の蔵の甘味を凝縮させた「五百万石」系のお酒でも確かに美味しいものはありますが、甘味にトゲが出ていたり、甘味が纏まりきれずにムラが出ていたりと何れも後一歩の処のものばかりでした。
それでも(私の中で)点数を付ければ95点以上なんですが、この"島美人"の甘味は本当に隙がなく高い次元でまとめられた濃厚な甘味であり、他の蔵のお酒よりも明らかに一歩抜きん出ている感じのする完成度の高い(私の中ではほぼ100点満点の)お酒だと思います。
その甘味、舌先でコロコロしても、食中酒にしても、いつ飲んでも変わる事のない濃厚な味がに確かに口の中にあるんですよ。
更にこれ、本醸造なんですよ、どこまで凄いんですかこのお酒は!
何か酔いが回って来た様ですが、何が云いたいかと云えば、私「五百万石」を使った甘味凝縮タイプが好みなんですが、その中ではこのお酒が私の中で一番感性にマッチしたお酒になったと云う事を云いたかったんです!
最後になりましたが、今回のこの"島美人"はしっかりと味を主張する飲み応えたっぷりの生原酒でした、って云うか最強の「五百万石」発見しました!(うぃ〜っ)

因みに、"島美人"のは大正8年創業時に清酒の製造場があった時の地名(今の兵庫県小野市)だとか。
それは兎も角、"島美人"と検索すると焼酎のさつま島美人がどうしても先に出てきてしまい、こう云う処でも何かちょっと損をされている様な気が・・・。
でもこちらの酒蔵さんはしっかり地元に根付いておられるので、その点は飲兵衛としても何の心配もありません。
本当、良い酒蔵さんを見つけました。

使用カメラSHARP AQUOS SERIE mini SHV31、H30.06.14、撮影。
 
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