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遂にこの時がやって参りました。 大阪府交野市は大門酒造株式会社さんが造った幻の日本酒"平野酒(ひらのざけ)"の初しぼり生酒は純米吟醸酒であります。 このバージョン(初しぼり生酒)は季節限定であります。 先日ちょいといい事があったので、思い切って開けます!(こんな凄いお酒、何かきっかけがないと飲めませんよ) このお酒は、少し前aiちゃんがM氏と飲みに行った時私へのお土産(ここ大事!)として頂いたもの。 その後暫くは熟成と称し有難〜く冷蔵庫で寝かせておいたもの、と云うより実際は恐れ多くてそう簡単に手をつけられなかったと云うのが正直の処ですね(汗)。 その昔、大阪の平野は"平野郷"と呼ばれ良質な米と水を使った酒造りが盛んでありました。 そこで醸されたお酒は平野酒と呼ばれ、かの有名な"醍醐の花見"において豊臣秀吉に献上した事もある程の銘酒だったのでした。 そんな凄い平野酒を復活させたいと云う地元の人達の要請を受け、1993年、大阪市平野区の酒販店「かいたにほんてん」さんの店主櫂谷鴻慈さんは立ち上がり、店主自ら様々な文献を調べ、お米は酒販店近所の農家に減農薬の酒米を受注生産し、大阪は交野市の大門酒造株式会社さんに醸造してもらい完成させたのであります。 ですから出来上がったこの"平野酒"は、大門酒造株式会社さんが造ったと云うよりは酒販店「かいたにほんてん」さんの店主櫂谷鴻慈さんが造ったお酒、延いては地元の人達の熱意が造ったお酒と云う方が良いのかも知れません。 だからと云う訳ではありませんでしょうがこのお酒、大門酒造株式会社さんの商品リストには載っておりません。 更にこのお酒、毎年造り続けてはいるものの、一年に出来る量は一升瓶1200本分程と誠に少量である事もあり、その意味でも真に幻のお酒なのでありす。 そんな凄い"平野酒"、一応そう云うお酒がある事は知っておりましたが、それが何といつも色々、色々、色々お世話になっているM氏の地元にあったなんて、更にそのM氏から頂けるなんて、何と云う有り難さ、嬉しさもひとしおであります。 と云う事でこの"平野酒"、グラスに注いで見ますと薄く濁りが入っていますが香りは・・・、ありません・・・。 一口飲むと、あれ・・・? 酸味・・・? 甘味・・・? と、兎に角、割としっかり目のフルーティーな今時のお酒っぽい味! その上ピリッと来るので辛口? と思ったら、これは微発泡のなせる業。 でもフルーティーな味は優しい感じで口の中に残り、それがコクに繋がって美味しいお酒になっていますす。 このコクは「山田錦」君?と思ったら、何と「ヒノヒカリ」! 成る程、只のフルーティーなお酒とはちょっと毛並みの違う美味しさだと思ったらそう云う事だったのか。 そのフルーティーな酸味(甘味)は"くどく"はなく全体的に見ると"華やか系"のお酒になるのでしょうが、こんなオシャレなお酒があの豊臣秀吉を唸らせたのかと思うと、ちょっと意外と云うか何とも不思議な感じですな。あの人、こんなにオシャレだったっけ? 風の噂では"平野酒"はシンプルで控え目な大人しい味だと聞いておりましたし、その大人しいお酒を気に入ったと云うのだから豊臣秀吉も又(勝手にですが)地味な武将だと云う印象を持っておりましたが、まあ、今考えるとあの人結構派手好きだった様でしたので、実際は大人し目のお酒より"華やか系"の派手なお酒好きだったのかも知れませんな。 ともあれ、天下に名だたる"平野酒"はその名に恥じない誠にクオリティーの高い美味しいお酒でありました。 因みに"醍醐の花見"とは、晩年の豊臣秀吉が1598年、京都の醍醐寺で開いた贅の限りを尽くし行われた一大花見イベント(軽いな〜)であります。 そしてそこには日本各地から集められた銘酒の数々が勢揃いていた様ですよ。 「天野、平野、奈良酒、加賀の菊酒、筑紫・鎮西・博多の練酒、いろいろ、さまざま、われ劣らじと・・・」<「大かうさまくんきのうち(太閤様軍記の内)」(太田牛一)>にも記されている位凄かった様で、それは差し詰め現代の日本酒品評会みたいなものだったとか。 ちょっと解説すると天野は大寺院が造った僧坊酒の事らしく河内長野市の西条合資会社さんが復刻した"僧坊酒"がそれに近いかな。 奈良酒は"生もと(山廃)仕込み"の原型である"菩提もと仕込み"のお酒の事。 加賀の菊酒は石川県の取手川の水を使ったお酒の事。川の上流には昔から野生の菊が群生しており、中国の故事ではその滴を集めたお酒には特別の力があり不老長寿の力があるとされていたが、実際は白山から流れ出る雪解水(湧き水)が美味しさの源だった様。 練酒とは濁り酒の事ですが、それはどぶろくと云うよりはアルコール度数の低い甘酒に近いものだったみたい。 それはさて置き、実際この花見で平野(大阪)のお酒は好評だった様で、江戸時代初期には大阪(大坂)のお酒は"下り酒"と云われ、特に平野酒は"大坂諸白(おおさかもろはく)"と云う名で人気を集めていたそうです。 使用カメラiPhone6s、H30.03.11、aiちゃん撮影。 |
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