"今代司"
新潟県強化月間の第5回は新潟県新潟市中央区にある今代司酒造株式会社さんが造る日本酒"今代司"の特別純米酒越淡麗バージョンです。
こちらの酒蔵さんのレギュラー商品には「五百万石」を使った特別純米酒はありますが、「越淡麗」を使ったバージョンは今年出来た様です。
最も今は完売してしまった様ですが・・・(販売されていた痕跡は残っている感じなのですがね)。

このお酒は少し前、息子の友人が新潟から遊びに来た時のお礼として、息子の誕生日に沢山の新潟の(新潟大の)特産品と供に送って頂いたもの。
前回は"こしのはくせつ"でしたので今回は同じ「越淡麗」を使ったこのお酒を是非飲んで下さいと云われた意味が良く判りました。誠に感謝感激で在ります。

こちらの今代司酒造株式会社さんの特徴は、何といっても全量純米仕込み(2006年から)に拘っている事でしょう。
この全量純米仕込みをしている酒蔵は、勿論全国でも数少ないと云う事であります。
全量純米仕込みをすると云う事は即ち、酒造りの過程で添加アルコールに依る最後の味の調整をする事が出来ないと云う事であり、必然的に酒造りが緊張感溢れる真剣勝負になり、それが結果としていい味になる、と云う訳ですな。
勿論、仕込み水は新潟の菅名岳の天然水を使い、高杉修杜氏さんが醸した特別純米酒ですから間違いは無いと信じて、特別純米酒"今代司"頂きます。

グラスに注ぐと香りは控え目、口に含むと軽〜い、或いは押さえられた酸味(?)が、そしてその後控え目で上品な甘味、いや旨味へと変る。そしてうっすらとコクが・・・。
あっさり系と云えばそれまでですが、どこか大人しいお酒ですね。
あまりにも前回の"こしのはくせつ"の印象が強かったので余計にそう思うのかも知れませんが、これは単体で飲んだ時の印象です。
しかしこの大人しい味は食中酒にすると、やはりその旨味が際だって来ました。特にあっさりとした肴に合わせるとその旨さは更に際立ち、肴の美味しさを前面に押し上げつつも自らの旨味、自らの存在感をしっかりと主張して来るのです。
そう云う意味では、線は細いけれど新潟らしいポテンシャルの高い食中酒と云う感じでしょうか。
以前の"こしのはくせつ"は、同じ「越淡麗」でこれでもかと云う位の凝縮された甘味であったのに対し、この"今代司"は同じ「越淡麗」でありながらも、ぐっと甘味を押さえた旨味で勝負すると云う感じ。
映画の世界に例えれば"こしのはくせつ"は映画の主人公にもなりうる個性の強さを持っているのに対し、この"今代司"は主役を活かしながらもしっかりと自らを主張する名脇役と云った感じでしょうか(なんちゃって)。
でも2本とも「越淡麗」を使っているんですよね。同じお米でも醸し方一つでこんなに違いが出て来るなんて、恐るべし日本酒の世界、そして誠、恐るべし新潟の酒!

調べて見るとこちらの酒蔵では錦鯉をモチーフにしたその名も"錦鯉(にしきごい)"と云うお酒も販売されておられます。
明るい朱色の迷彩パターンが描かれた白色の陶器?の入れ物は正に錦鯉。その鮮やかな彩りからお祝い用のお酒として人気なのだそうです。
酒蔵さん曰く、"今代司は「金魚酒」ならず 威風堂々たる「錦鯉」"、だそうです。
因みに「金魚酒」とは、その昔お酒が貴重品だった頃、特に大衆酒等はお酒に水を加えて販売していた風習もあった様で、あまりにも安価なお酒は金魚も住める程に薄められたお酒と云う例えから来ている様です。
今の時代でしたら招徳酒造株式会社さんの"夏の戯れ"の様に単純に可愛いと云うイメージしかありませんがね(笑)。

使用カメラiPhone6s、2017.09.04、aiちゃん撮影。
 
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